2U Inc.は、著名な大学院と提携してオンラインの学士号プログラムを構築、提供、サポートするアメリカのEdTech企業です。同社は2008年に設立され、2014年3月にはNASDAQに上場しました。当初の社名は犬のTorにちなんで2tor(「Tutor」と発音)と名付けられていました。
今回は、世界有数のEdTech企業である2Uのビジネスモデルについて見ていきましょう。
2U社の事業内容とは?

2U社はハーバード大学、エール大学、MIT、ペンシルバニア大学、ジョージア工科大学、カリフォルニア大学バークレー校、およびテキサス大学などアメリカでもトップクラスの知名度を誇る大学と長期の契約を結んでいます。
では、その事業内容がどんなものなのか詳しく見ていきましょう。
2Uは、アメリカの大学生をメインターゲットして、複数の機能を持つ教育プラットフォームを運営しています。2020年12月期の売上高構成比はDegree Program事業62.8%、Alternative Credential事業37.2%となっています。
次に、事業内容について細かく見ていきます。

Degree Program事業(2020年12月期売上高構成比62.8%)は、専門知識や技能を修得するためのプログラムや学部や大学院レベルのオンライン学位プログラムを提供。2020年12月期のDegree Program事業の売上高は486.7百万ドル(前期比17%増)となりました。
Alternative Credential事業(2020年12月期売上高構成比37.2%)は、国の関係教育当局によって独立した正式な教育資格として認められていない資格のことで、1、2ヶ月程度の短期講座や2ヶ月から半年程度の期間実施するCourse Stacksやブートキャンプが含まれます。2020年12月期のAlternative Credential事業の売上高は287.8百万ドル(前期比83%増)となりました。

2Uコースの中でも大学院生向けのコースの価格は30,000ドル以上と設定されており、実際にキャンパスで受ける授業料に匹敵するものであるため、学習者の多くは学生ローン等を組んで受講しています。2Uの2020 年における売上の38%は、学生が得た連邦政府奨学金(学生ローン)によるものでした。
2U社の5カ年業績推移

2020年12月期の実績は、売上高775百万ドル(前期比57%増)、営業損失191百万ドルとなりました。コロナによる学習のオンライン化が進み増収となったものの営業損益においては引き続き赤字が続いています。
M&Aについて
2017年以降、2Uは戦略を多様化し、教育会社GetSmarterを買収し、後にTrilogy Educationを買収し、短期の非クレジットトレーニングプログラムを提供しています。また、2017年には、ノースカロライナ大学チャペルヒル校から2Uとの提携を通じて、オンラインでMBAを取得しました。 2017年後半、元オバマ大統領上級顧問が2Uの理事会に加わった。
2U社の今後の展望
2021年6月29日、米国の教育テクノロジー企業2Uは、大規模公開オンライン講座(MOOCs)を提供するedXを8億ドルで買収したことを発表しました。
この取引により、オンライン教育における両者の独自の強みと機能が統合されると述べています。2UとedXをあわせると、全世界で5,000万人を超える学習者にリーチし、230以上の大学や企業パートナーにサービスを提供し、3,500を超えるデジタルプログラムを提供します。
2Uは、公益事業体(public benefit entity)としてedXを運営する予定です。2Uはまた、講義の聴講の無料トラックを継続することで手頃な価格を保証し、MOOCsに貢献する教員および大学の知的財産権を保護し、edXと参加大学の合意内容の保証、全学習者のデータのプライバシーの保護、およびオープンソースで独立したプラットフォームOpen edXの継続的な開発に貢献することで、edXのミッションを継続していく予定であると述べています。

これによってMOOCsからGrad & Undergrad Degreesまでのさまざまな形式においてアメリカの主要大学と密接な連携が取れる体制が出来てきています。
参考元:
2U, Inc. 2018 Fourth Quarter Earnings Call(Presentation)
2U, Inc. 2019 Fourth Quarter Earnings Call(Presentation)
2U, Inc. 2020 Fourth Quarter Earnings Call(Presentation)